塩の情報室 昔の塩

 

トップページへ 塩の情報室 目次
塩の種類と特徴
製法と原料による塩の分類
「あらしお」の話
(2010記載)

「フレーク塩」の話
(2010記載)

「焼塩」の話
(2010記載)
「藻塩」の話
「自然塩」の話
(2010記載)

「ミネラル塩」の話
(2010記載)

「化学塩」の話
(2010記載)

市販の塩の種類
「あらしお」の話
(旧原稿)

自然塩の話
(旧原稿)

岩塩の話
天日塩の話
生活用塩とは
深層海水塩
塩の添加物
「焼塩」の話(2010記載)

定義: 塩を高温で焼いたもの。
別名: 炒り塩、煎り塩、焼成塩。
製法: 一般的に「にがり」を含む塩を高温で焼いている。
特性: 固まりにくい、味が特徴的(丸みがある)。

塩を焼く操作は古くは非常に重要な操作だった。昔の塩は「にがり」分が多く吸湿しやすかったから、塩を遠くに運ぶとき、食卓塩として使うとき、塩壺なしで長く保存をするときなどは、必ず行わなければならない操作だった。伊勢神宮御塩殿で作られる塩が、三角おむすび型に固められて竈で焼かれるのは昔の最も優れた塩保存方法の名残である。
家庭で鍋で焼いて作る焼塩は、「にがり」が多くてべたべたで使いにくいとき、台所で塩が湿気を吸ってべたべたで使いにくいとき、特に振り塩をして料理をするときに余分の水分を飛ばしてさらさらにするために塩を炒る。しかし、昔の塩は「にがり」分や水分が多く塩を炒ることは普段のことだったし、商品も「にがり」が多く湿ったままで叺(カマス)詰めであり、炒らない場合は壺に移さなければ保管できなかった。今は多くの塩で水分が垂れるような塩は売られていないから以前のような意味はなくなった。台所の焼き塩では加熱温度は低いし加熱している時間も短いから通常このような操作で塩の味がさほど変化しないのだが、昔の塩は水が垂れるような塩だったから物性も大きく変わり、少しうま味が増して使いやすくなったような気がした。最近の商品の焼塩は高温で長時間焼かれた完全な焼塩なのだが昔のように焼塩のありがたさがなくなり、心無しか味の変化もないように感じられる。
商品としての焼塩では、乾燥塩と焼塩の境界は実際は極めてあいまいだが、水分を蒸散させてさらさらの塩を作ることを目的とした場合は乾燥、結晶の構造変化や塩化マグネシウムの組成変化による固結防止や味の変化を目的とする場合は焼塩と称している。食用塩公正競争規約では塩化マグネシウムが含まれない塩では焼塩とは言っていない。
焼き方は様々で非常に幅が広い。家庭で炒るのと同じように鍋やホウロクで乾煎りして作っても焼き塩だし、塩を高温で溶融して粉砕しても焼き塩で、製法の幅は広い。塩の温度も様々で、100℃に満たないものから、1000℃以上のものまである。装置は単なる開放の鍋や回転炉(キルン)が多いが、韓国竹塩のように竹に詰めて焼く、融解釜で溶融する、伊勢神宮御塩殿のように型に入れて焼き固めるなどの方法もある。塩の加熱による変化は示差熱分析やX線回折で部分的には解析されており、塩の融点は800℃、塩化マグネシウムは100℃付近から塩基性塩化マグネシウムMgn(OH)mH2Oに変化し、480℃付近からMgOに変化を始める。加熱されると塩の性質が変わり、使い勝手や味も変わるとされているがその詳細は解析されていない。塩化マグネシウムの変化の影響は固まりやすさに強く表れる。理由は塩化マグネシウムは結晶表面だけに存在し、加熱により不溶性の塩基性塩化マグネシウムの粒子となり不溶性微粒が結晶表面を覆うことで可溶性の塩化ナトリウム結晶の接触面積が小さくなり、結晶表面の吸湿放湿の繰り返しによる固結が起こりにくいものと想定される。塩を舐めた味も加熱により変わる。結晶の中にある液晶や空洞が熱膨張を起こし結晶粒が破砕されて粒径が変わり、粒径変化とともに味も変わる。この現象は400℃以上くらいで顕著になる。通常400℃以上に加熱した焼き塩を高温焼き塩、400℃以下の加熱を低温焼き塩といっているが、加熱時間なども決めておらずその境界は曖昧である。塩基性塩化マグネシウムは生成し始めると、刺激性の塩酸ガスを放出する。刺激性ガスの発生は高温になるほど強く、装置は腐食し、作業環境が悪くなる。製造する人は装置腐食による鉄錆の混入には十分注意しなければならない。塩化ナトリウムだけでは味も物性も変化が乏しく、塩化マグネシウムの存在で加熱した方が変化が顕著になると考えられている。塩を舐めた味は加熱によりまろやかになると言われるが、加熱しすぎると粉っぽくなり塩味として異質な感じになる。この味の変化は固体の塩を舐めたときには感じるが、溶けてしまうと感じられない。
韓国竹塩は竹に塩を詰めて焼き、粉砕したもので、高級品はその焼き操作を7度も繰り返すといわれる。健康によいとされて薬のような扱いになっている。なお、韓国では加熱温度は800℃以上に定められているが、これはダイオキシン発生を防止するためである。日本の塩は煮詰め塩なので有機物がないため焼いてもダイオキシンの発生はないと考えられる。

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