ダイエットの天敵?「別腹」つくる脳の分泌物質「オレキシン」とは?

「食後のデザートは別腹」とよくいいますが、これには、科学的根拠があるそうです。
 



満腹になっても食べられる「別腹」の正体を知りたい
(2009/10/13、R25)

畿央大学で健康栄養学を教える山本隆教授によると「人がケーキなどを見ておいしそうだと感じたときに脳の視床下部から分泌される『オレキシン』という物質が深く関係している」とのこと。

別腹には、オレキシンという物質が関係しているそうです。
どのような仕組みになっているのでしょうか。

「オレキシンが分泌されると、胃や消化管の運動が活発になり、蠕動運動により胃の内容物を十二指腸へと送り出します。
そうすることで、胃の上部に新しく余裕が生まれて、ケーキなどが入るという仕組みになっています」

オレキシンが分泌されることで、胃や腸が活発に動くことで、胃に余裕が生まれる=別腹ということのようです。
また、この別腹というのは、甘いデザートに限ったことではないそうです。

「『別腹』は甘いものだけではありません。
脳が“おいしい食べ物”だと認識するとオレキシンが分泌され、胃にスペースが生まれます。
ただ、甘いものは、特に食欲を高める効果があることがわかっています。
カロリーが高いことが多く、効率的にエネルギーを摂取できると本能的にわかっているのでしょう。
甘いものに対して別腹が生まれやすい原因のひとつかもしれません」

甘いものに限らず、脳がおいしい食べ物だと認識するものであれば、オレキシンが分泌されるそうです。
もしかすると、大食いの方は、このオレキシンが多く分泌されていて、胃のスペースを広げているため、より多くの量を食べることができているのではないでしょうか。
また、さらに記事には興味深いことが。

「男女とも、甘いものを見たり食べたりすると快楽物質“βエンドルフィン”が脳内で分泌されます。これによって『おいしい』とか『もっと食べたい』などの反応が出るのですが、オスよりもメスの方がβエンドルフィンに高く反応するんです。
ですから、男性よりも女性が『満腹でもケーキを食べたい』と感じるのは自然なことだと思います」

記事によれば、ラットを使った動物実験では、甘いものに対しての反応はオスよりもメスの方が高いとの結果がでているそうで、女性が別腹と言っていることが多いと感じるのは、ごく自然なことみたいです。
ただし、あまりにも「別腹」を許すと、カロリーオーバーになって、あわててダイエットすることになるかもしれないので、ご注意を。

空腹ホルモンダイエット9~食べ過ぎなのにさらに食べたくなるのは …

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お腹がいっぱいなのに、「デザートは別腹」、「残すのはもったいない!」と食べ続けると脳からオレキシンという神経細胞が分泌されます。オレキシンは1998年に発見された神経ペプチドで、摂食と睡眠に深く関わっている成分。食べ過ぎで、オレキシンが過剰に分泌されると、脳を覚醒させて睡眠障害を招くこともわかっています。動けなくなるほどご馳走三昧だった夜に寝つきが悪くなってしまうのは、オレキシンが災いしているかもしれません。
特にダイエットの反動や日常の様々なストレスから“やけ食い”傾向に陥っている時は、オレキシンが猛威をふるっています。また、食事の量よりもスイーツがやたらと食べたくなる“甘味依存症”も糖分でオレキシンが活性化されてしまいます。三度の食事が炭水化物ばかりという人も、炭水化物は体内で糖質として処理されるので、スイーツ同様に注意が必要です。
食べ過ぎ傾向の時や、スイーツや炭水化物ばかり食べてしまう人は、“食事を残す勇気”を持って、次の一口をグッと堪え、満腹中枢からレプチンというホルモンが分泌されるのを待ってみましょう。レプチンはオレキシンを抑え、食欲も抑えてくれるありがたい存在。食後20~30分ほどで分泌されます。ダイエットをしていても、お腹いっぱい食べることを自分に許すと、努力が水の泡となってしまいます。このレプチンの分泌を待つ20~30分のガマンが、ダイエットの明暗を分けることになるでしょう。ヒトのカラダには素晴らしい機能があるので、大いに利用してオレキシンの猛威に負けないようにしましょう。
また、食欲を抑えることができても、オレキシンが過剰分泌されていると、その影響で神経が興奮状態になって夜、目が冴えてしまう場合もあります。オレキシンは、睡眠時に分泌されるGABAという成分で静まる仕組みになっていますが、なかなか眠れない時は、お風呂に入ったり、生姜湯を飲むなどして体温を上げ、その後、体温が冷えていく過程でGABAと共に副交感神経が優位になって眠くなってくるので、このタイミングでベッドに入りましょう。
睡眠不足が続くと、食べ過ぎ傾向になりやすいグレリンやオレキシンの過剰分泌を誘うことにもなるので、ダイエット中の時こそ、睡眠時間の確保も大切です。

第11回 肥満ホルモン「レプチン」と睡眠ホルモン「オレキシン」/自

東京大学 立花隆ゼミ 酒井寛
前回のブレインミステリーでは「ホメオスタシス」について、おおまかに紹介しました。覚えていますか?復習すると、ホメオスタシスとはホルモンという物質を血液中に放出したり、交感神経と副交感神経という2種類の神経のネットワークがバランスをとりながら働いて、体全体が「生きるためのベストコンディション」になるように調節する働きのことでした。そしてその「司令塔」とも言うべき器官が脳の一部である「視床下部」だった、ということでしたね。今回のブレインミステリーでは、ホルモンを用いたホメオスタシスが実際にどのようなものなのかを箕越先生の研究の重要なテーマである「エネルギーの摂取(食べること)とその消費(体で使うこと)」、それに関わるホルモンである「レプチン」、そして「オレキシン」という物質の、箕越先生を中心とする研究者が解明してきた働きを例に細かく見て行きます。
レプチンと脂肪細胞 〜脂肪細胞から視床下部へメッセージ〜
脂肪細胞、と聞くと「脂肪細胞→脂肪→太る!→悪いヤツ!」と連想してしまいそうになりますが、ちょっと待ってください!動物はご存知の通り、自分でエネルギーをつくることができないので、食べ物を食べて生活しています。もし、体にエネルギーを蓄える機能がなければずっと食べ物を食べていなくては行けません。それでは生まれてから死ぬまで食べてばっかりの人生!つまらないですね。しかし実際には食べたエネルギーをためておく能力を持っています。どこにためているのでしょうか?実は、肝臓や筋肉、そして脂肪細胞にエネルギーをためているのです。「インスリン」というホルモンが分泌されるとこれらの細胞にエネルギーをためるのですが、体で使う以上にたくさん食べることができた時は、余ったエネルギーを主に脂肪細胞にためます。脂肪細胞はいわば、「エネルギーの予備貯蔵庫」の働きをしているのです。エネルギーをためること以外にも、動物が生きて行く上で重要な役割を脂肪細胞は担っています。それはホルモンの分泌です。そしてその中の一種が、前回にも少し登場した「レプチン」なのです。
「レプチン」という物質は、前回で説明したホルモンの一種で人間の体が生きて行くのに必要なエネルギーの摂取(つまり、「食べる」こと)と、そしてそれをどのように使うのかを調節しています。生物の体ではエネルギーを摂取しすぎても、また使いすぎても生きて行く上で重大な障害となってしまうので、このレプチンの果たす役割がどれだけ大きいかわかりますよね? 脂肪細胞からレプチンが分泌されると、おなじみ「ホメオスタシスの司令塔: 視床下部」で受け取られます。レプチンを受け取った視床下部は食欲を抑制する、すなわち「食べる気無くなるモード」に体を切り替えます、それと同時に交感神経という体中に電線のように張り巡らされたネットワークに作用して、肝臓や筋肉などに「体の中にあるエネルギーを消費しろ!」と命令を出します。つまり、食べる量を低下させてエネルギーが取り込まれるのを抑制し、さらにからだでのエネルギー消費をあげることで、体全体でエネルギーの過剰な蓄積を防ぐことができるのです。しかし、過剰なエネルギーを摂取しすぎる、たとえば脂っこい高脂肪食を食べ続けるとこのメカニズムに「ゆがみ」が生じてきます。高脂肪食を食べ続けると、やがてレプチンが視床下部で効かなくなり逆に食欲が促進される上に筋肉などでのエネルギー消費が低下し、糖尿病などの病気を引き起こす事態になってしまいます。
レプチンはこのようにして食べる量および、エネルギーの消費を調節することで体の中のエネルギーバランスを正常に保っています。他にもレプチンは様々な働きを持っています。例えばやせすぎると病気になりやすいと言われていますが、その原因の一つはレプチンが少なくなってしまい、免疫(菌などの外部からの敵から自分をまもるシステム)が低下するためだと考えられます。
オレキシン
このオレキシンという物質はオレキシンニューロンとよばれる神経細胞から生み出される物質で、1998年になんと日本人がはじめて発見した物質なんです!そのオレキシンニューロンは「ホメオスタシスの司令塔」である視床下部に存在します。オレキシンも多くの作用を持っています。レプチンが摂食活動をおさえる働きをもっていたのに対し、オレキシンは促進する働きを持っています。他にも睡眠と覚醒のコントロール、交感神経の活動を促進して体のエネルギー消費を促進する、などの機能を持っています。実際に、オレキシンが視床下部で分泌されると、筋肉が血液からエネルギーの元である糖分を使うために取り込む速度が、最大で約3倍になるということが箕越先生達の研究の結果分かりました。オレキシンが分泌されると、筋肉ではオレキシンの無いときに比べてどれだけ素早く、多くのエネルギーを使うようになるかが分かると思います。このようにオレキシンも重要な役割を多く担っているので、体の中でつくられないとナルコレプシーという、突然眠ってしまうという症状や、肥満、糖尿病などを引き起こす原因になります。
さて、そんなオレキシンについて、もう一つある面白い性質が分かっています。マウスにとってはご褒美のようなものである、甘い味のついた水を毎日決まった時刻に与えると、脳のなかのオレキシンを作り出す神経の活動が盛んになることがわかったのです。このことは、なにか動機があり(この場合であると、「甘い水を飲みたい!」ということ)、それが達成される(この場合であると「甘い水が飲めた!」という達成)と、オレキシンの生産が多くなるということを示しています。簡単に言うと、「食べる」という行動に対して「楽しみだなあ〜幸せだ〜!!」と思いながら、よく味わって食事をするとオレキシンの分泌が盛んになるということなのです。
 
以上、いろいろな性質を持っているオレキシンですが、実は「エネルギーの摂取と消費」という点から考えると、全ての機能が一本の線につながります。みなさんは体によいご飯の食べ方として「寝る前にはご飯を食べない」や「ご飯はよくかんで楽しんで食べること」というのを聞いたことがあると思います。これはまさに、オレキシンがたくさん分泌されるための大事な条件なのです。朝昼晩の三食を毎日決まった時間にとり、よく噛んで楽しみながら食べるとオレキシンの分泌が多くなり、体のエネルギーの消費能力が高められます。すると、余ってしまうエネルギーを減らすことができ、脂肪組織が必要以上に大きくなることを防ぐことができるのです。そうすると肥満などの原因となる脂肪組織が大きくなってしまうことを防ぐことになり、健康な体を維持することにもつながります。
このようにオレキシン、レプチンは、とても小さい分子であるにかかわらず、遥かに大きな生き物の体のコンディションを大きく動かす働きを持っているということが分かっていただけたと思います。
 
しかし、箕越先生達の研究はここでは終わりません。さらに細かく、詳しく研究を進めて行った結果、また新たな事実が分かりました。そのストーリーの主役の名前は「AMPK」です。一体、何なのか?何をしている物質なのか?次回、詳しく紹介します。
 
yasuhiko_minokoshi.jpg

オレキシン

オレキシンとは、神経ペプチドの一種である。摂食中枢として知られる視床下部外側野限局するニューロンに局在し、またラットマウス脳室内投与すると摂食量が上昇すること、絶食によって発現が亢進することなどから、当初、摂食行動の制御因子の一つとして注目を浴びた。その後、オレキシンやその受容体の変異動物モデルの解析、および臨床的研究によりオレキシン産生ニューロンの変性・脱落がナルコレプシーの原因であることが明らかになり、この物質が覚醒の維持にも重要な役割を担っていることが明らかになった。さらに、各種遺伝子改変マウスの解析によるオレキシン産生ニューロンの入出力系の解明により、大脳辺縁系、摂食行動の制御系、覚醒制御システムとの相互の関係が明らかになった。オレキシン系は睡眠・覚醒調節機構の重要な要素であるだけでなく、情動やエネルギーバランスに応じ、睡眠・覚醒や報酬系そして摂食行動を適切に制御する統合的な機能を担っている。

オレキシンとは

オレキシンはオーファンGタンパク質共役型受容体(GPCR)を用いた新規生理活性物質の探索により同定された[1]。オレキシンA (orexin A)とオレキシンB(orexin B)の二つのイソペプチドが存在する。同時期に、視床下部に特異的に発現するmRNAから推測されたペプチド前駆体より、二つの神経ペプチドが予測されヒポクレチン-1、ヒポクレチン-2として発表されているが、オレキシンAおよびBと同じものである(当初論文のヒポクレチンの構造の推測には間違いがあったが現在ではオレキシンと同義語として用いられている。)
オレキシンは摂食行動の制御系と睡眠・覚醒の制御系の両者と深い関係をもっている[1] [2]。オレキシンと報酬系との関連も示唆されており、情動や体内時計エネルギー恒常性を統合した情報をもとに、適切な睡眠・覚醒状態をサポートする機能をもっていると考えられる[2]
行動を制御するには覚醒の維持が必須であるが、オレキシンはさまざまな行動をサポートするために、覚醒を維持する機能をはたしている。一方、オレキシンの機能障害はナルコレプシーなどの過眠症に、機能亢進は不眠症などの病態に結び付くと予想される。

構造

オレキシンAは33アミノ酸からなり、分子内に2対のジスルフィド結合を有する。N末端はピログルタミン酸、C末端はアミド化されており、きわめて安定な構造をもっている。従って脳内での半減期も作用時間も神経ペプチドとしては例外的に長い。一方、オレキシンBは28アミノ酸残基の直線状のペプチドである。これら二つのペプチドは共通の前駆体(プレプロオレキシン:prepro-orexin)からプロホルモン変換酵素によって生成されると考えられる。これらは二つのGタンパク質共役型受容体、オレキシン1受容体(OX1R)およびオレキシン2受容体(OX2R)に作用する[1]

サブファミリー

オレキシンA (orexin A)とオレキシンB(orexin B)の二つのイソペプチドが存在する。Orexin Aはhypocretin-1、orexin-Bはhypocretin-2に相当する。

表 オレキシンならびにその受容体の発現パタン
名称 発現
オレキシン前駆体 Hcrt
オレキシン1受容体 Hcrtr1
オレキシン2受容体 Hcrtr2
遺伝子名はAllen Brain Atlasのin situハイブリダイゼーションデーターへのリンク

発現(組織分布、細胞内分布)

オレキシンAとオレキシンBは同一の前駆体から切り出されるため、同じ細胞によって発現される。オレキシン産生ニューロンは視床下部の「摂食中枢」とされる視床下部外側野(lateral hypothalamic area: LHA)を中心にその近傍の視床下部脳弓周囲野(perifornical area)、そして視床下部後部(posterior hypothalamus:PH)に存在する[3] [4]
これらのニューロンは他のニューロンと混在しながら散在している。たとえばMCHを作るニューロンも似た領域に存在するが両者は別々の集団である。一方、ダイノルフィンニューロテンシンはオレキシン産生ニューロンに共存している。またオレキシン産生ニューロンはグルタミン酸作動性ニューロンのマーカーであるvGluT2を発現しており、グルタミン酸作動性ニューロンでもあると考えられている。
オレキシン産生ニューロンの数はマウスで数千個、ヒトで70000個ほどといわれている。これらのニューロンから伸びる軸索は、数多く分枝しつつきわめて広範な領域に投射している[3]

機能

オレキシンはMulti-takingなファクターであり、さまざまな機能を持っていると考えられている。摂食行動、自律神経系内分泌、報酬系などその機能は多岐にわたる。ただし、オレキシンを脳室内投与した結果見られる摂食量の亢進、交感神経系の興奮、HPA軸の活性化、ドーパミンニューロンの興奮などは、すべて覚醒に応じて引き起こされる現象、あるいは覚醒が引き起こされた結果ととらえることも可能でもあり、オレキシンのもっとも中心的な役割は覚醒の維持にあると考えられている。
1999年、動物モデルからナルコレプシーとオレキシン欠損の関連が示唆され、オレキシンと覚醒の関連は強く支持されることになった。遺伝性のナルコレプシーのイヌでは複数の系統にOX2受容体の遺伝子に突然変異が見いだされた[5]。また、オレキシン遺伝子欠損マウス、OX2受容体遺伝子欠損マウス、そしてオレキシン産生ニューロンを特異的に欠損させたorexin-ataxin3トランスジェニックマウスは、ヒトのナルコレプシーと似た睡眠・覚醒の分断化とカタプレキシー様発作を示す[6] [7]
さらにはヒトのナルコレプシー患者の髄液中のオレキシン濃度の顕著な低下が報告され[3]、また死後脳においてオレキシン産生ニューロンが消失していることがしめされた[4]。現在、患者の90%以上に髄液中のオレキシンA濃度の著しい低下がみられることが明らかになっており[8]、アメリカでは2005年より髄液中のオレキシンA濃度はナルコレプシーの診断基準にとり入れられている。このように、ナルコレプシーがオレキシンの欠損によって引き起こされることが明らかになったことから、オレキシンは種をこえて「睡眠・覚醒状態の安定化」に重要な働きをもっていることが明らかになっている。

受容体

オレキシンAとオレキシンBは二つのGタンパク質共役型受容体、オレキシン1受容体(OX1R)およびオレキシン2受容体(OX2R)に作用する[1]。一般にどちらの受容体を介する作用も受容体発現ニューロンに対して強力かつ持続的な興奮性作用を示す。
後で述べるオレキシン作動性ニューロンの投射領域に一致してOX1RおよびOX2Rも分布するが、脳内の組織分布はサブタイプにより異なる[9]青斑核locus coeruleus: LC、ノルアドレナリン作動性)ではOX1Rのみが発現しているのに対し、結節乳頭体核tuberomamillary nucleus: TMN、ヒスタミン作動性)ではOX2Rのみが発現している。また、背側縫線核dorsal raphe nucleus:DR、セロトニン作動性)や橋被蓋に局在するコリン作動性神経の起始核、外背側被蓋核laterodorsal tegmental nucleus: LDT)や脚橋被蓋核pedunculopontine tegmental nucleus: PPT)には両方の受容体が発現している。
DRではセロトニン作動性ニューロンに両方の受容体が発現しており、LDT/PPTでは、コリン作動性ニューロンにはOX1Rのみが発現しており、GABA作動性介在ニューロンには両方の受容体が発現している。これらのことは、2つのオレキシン受容体が明確に別々の役割をしていることを示唆している[10]。オレキシン受容体拮抗薬は理想的な睡眠導入薬として期待されており、2014年8月1日非選択性オレキシン受容体拮抗薬であるスボレキサント (suvorexant)が厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会の承認を受けた。

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過眠型睡眠障害を引き起こす物質「ソムノジェン(somnogen)」を発見

児慢性疲労症候群(CCFS)は以前のエントリで取り上げたように、過眠型睡眠障害と関わりが深い病気です。過眠型睡眠障害とは一日の総睡眠時間が10時間以上になる状態のことです。
小児慢性疲労症候群(CCFS)の過眠型睡眠障害は、主に睡眠相後退症候群非24時間型睡眠障害として表れますが、より重いものとしてはナルコレプシーやクライネ・レヴィン症候群があります。
WSJによると睡眠を週70時間以上(1日10時間以上)取っているにもかかわらず眠気に襲われる幾つかの疾患を患う人を調べたところ、一部の患者の髄液に天然の睡眠薬の働きをする物質が含まれていたそうです。
過眠症患者の髄液に睡眠誘発活性化物質が存在 米チームが謎を解明へ – WSJ日本版 – jp.WSJ.com

脳自体が脳を鎮静させていた

2005年、米エモリー大学の研究チームは異常過眠の患者の髄液を調べたところ、睡眠誘発物質、いわゆる「ソムノジェン(somnogen)」を発見しました。その物質は脳内のGABAを過剰に活性化させていました。GABAは眠りを誘う天然の脳内化学物質です
それに対し、救急救命室で鎮静剤の過剰投与効果をなくす際に用いられる薬品、フルマゼニルで治療を試みたところ、眠くならずに過ごせるようになりました。
これまでのところ、睡眠外来の患者32人の髄液でソムノジェンが検出され、「米国人800人に最大1人の割合で髄液にこの物質があり、これが強い眠気が起こるその他の疾患の一因かもしれない」と考えられています。
この「ソムノジェン」が見られるのは、別の疾患が関係しない「原発性過眠症」の場合です。この記事では「過眠症は青年期の終わりに始まることが多いため、ティーンエージャーに多く見受けられる睡眠問題と混同されやすい」と書かれています。
また『「過眠症は就職しようとしたり家族を持ったりする時期、つまり若年の成長期にある人々を襲う傾向にある」が、「その多くは怠け者ないしドラッグシーカー(薬を欲しいがために受診している人)として見過ごされている」』と指摘されています。
もしかすると、成長期に発症するCCFSのメカニズムと関係があるかもしれないので、記事として残しておこうと思います。

がんと糖質制限 – 湘南メディカルクリニック新宿院

<がんと糖質制限>


 

 
がん細胞はその栄養源として、ブドウ糖しか使えない、という話があります。では、糖質制限をして、ブドウ糖をなくしてしまえば、がんの増殖を防げるのか?しかし、話はそう簡単ではないようです。
それは糖質制限をしても、血糖値が一定に保たれていることからもわかります。特に低血糖にならないように人間は体内に5種類ものステロイドホルモンを備えています。だから、糖質ゼロの食事でも血糖値は100mg/dl前後に保たれています。
この血糖は主に脳が消費しますが、がんがあれば、がん細胞もブドウ糖を栄養源として使います。 つまり、糖質制限中もがんは成長することになります。もちろん、大量に糖質を摂取する場合よりは成長は遅くなるでしょうが、肝臓でのケトン体からの糖新生が続く限り、がんは血中のブドウ糖を利用して、成長を続けてしまいます。
ですから、たとえ、完璧な脱炭水化物食にし、血中ケトン値を高める食事をし、脳がケトン体を使うように仕向けたとしても、肝心の血糖値が一定値以下にならない以上、「脳はケトン体,がんはブドウ糖」という使い分けが起こるだけであろう(糖質制限で有名な夏井睦先生のブログより引用)ということになります。
もちろん、糖質制限をすれば、がんの発生を減らせる可能性はあります。例えば、大量糖質摂取後の高血糖で分泌されるインスリンは、細胞分裂を促進させるホルモンであり、細胞分裂が多ければ多いほど、異常細胞、がんが作られる可能性が高くなるからです。
また,糖質制限で高血圧や高脂血症、肝機能障害などを正常化させることは,体を健康に保つために重要であり,場合によってはがんを発生させにくい健康体になるかもしれない可能性を秘めています。
しかしそれでも、いったんがんができてしまったら,糖質制限で血糖値が上がらないようにして、がんに余計な栄養を与えないようにすることくらいはできても,それ以上の効果(がん縮小など)は期待できないでしょう。
なお、これまた、糖質制限で有名な江部先生の「糖質制限食パーフェクトガイド」p199には、「がん細胞はケトン体を使えない」とあります。がん細胞のミトコンドリアにはβ-OHBDH(β-hydroxybutyrate dehydrogenase)とSCOT(succcinyl-CoA: 3-ketoacid CoA transferase)の片方または両方に不備があり、TCAサイクルを回せないためケトン体を利用できないというくだりです。
ワールブルグ効果として知られていますが、あのしぶといがん細胞がそんなひ弱な面を持っているとは意外ですね。でも、PETで描出されにくい肝臓・前立腺がんや高分化型肺がんなどではブドウ糖以外も使っていそうです。
他には、このような話もあります。「がんは抗がん剤などに対抗するため、糖代謝をペントース・リン酸回路へ一時的に迂回させ、抗がん剤を効かなくさせる作用(解毒作用)を獲得しつつ、がん自身のエネルギー源であるATPも確保できるように、巧妙に代謝系を利用し、生き延びるようとするあざとい仕組みを持っている(平成26年3月17日科学技術振興機構 慶應義塾大学医学部発表)」。がん細胞もいろいろ考えて、うまく増 殖しようとしているのですね。また、がん細胞はミトコンドリアの機能を落としておくことでアポトーシスを防いでいるという説もあります。
なお、カロリーを制限し小食になると、がん細胞だけでなく、正常細胞の働きも落ちますのでお勧めできません。がん患者様は、末期になると、なぜ一気に痩せこけてくるのでしょうか?がんになると、肝臓からの糖新生では足りなくなり、脂肪、筋肉などからも一斉に最後の手段としての糖新生が行われ、それをがん細胞が食い尽くしているような気がします。そのため、全身の脂肪、筋肉も糖新生に動員されて消耗されてしまうのではないかと考えています。
要は、増殖しすぎておなかが空きすぎて兵糧攻めにあったがん細胞が、足りない食料を求めてあちこちから略奪に走り、そのため全身の各組織は荒れ地となってしまうのかもしれません。
肝硬変の末期も同様に考えると「肝臓でできなくなってしまった糖新生を他の部位で補おうとするために各組織が消耗されてやせ細ってしまう」のでしょうか。
いずれにせよ、糖質制限などでストレスのない健康体になっておくことが免疫力を高め、がんになりにくい抵抗力をつけるのかもしれませんね。私自身、昨年3月に糖質制限を開始し、これで約1年過ぎになりますが、体重は15kg痩せ、γ-GTPも20年ぶりくらいに正常化し、体調はすこぶる良好です。がんになりたくない人には、免疫療法と糖質制限をお勧めします。

進行・再発がんで ケトン食療法が有効か!?

(2016年4月)

「ケトン食が新たながん治療の選択肢となる可能性も出てきました」と語る萩原圭祐さん

がんになると、それまでの食事を見直す人は多い。ただ、何を食べれば、再発を防げるか、また進行・再発がんに対してどういった食事がいいのか、現時点では確固たるエビデンス(科学的根拠)は存在しないのが現状のようだ。そうした中、新たな可能性として注目されているのがケトン食。進行・再発がんに著しく有効だったという研究結果が明らかとなった。化学療法などと併用した新たな治療法として注目されている。

「これを食べれば」は存在しない

がん患者に対するケトン食の有用性を明らかにしたのは、大阪大学大学院医学系研究科漢方医学寄附講座准教授の萩原圭祐さんらの研究グループ。
萩原さんによると、がんと食事の関係は、大まかにいってがんになっていない人(予防のための食事)、がんになり手術・化学療法・放射線療法を受けた人(再発予防のための食事)、進行・再発した人(進行抑制のための食事)と、がんの状態によってそれぞれ分けて考えるべきだという。
がん予防と食事との関係については、国立がん研究センターが行った長期にわたる疫学研究「多目的コホート研究」の結果が報告されている。この研究の結果からは、高塩分食や野菜不足がわずかにがんのリスクを高めることがわかったが、「これを食べればがんにならない」といった特定のがん予防食品やサプリメント、食事療法は今のところ存在しないという。
また、がんになった人に対する食事療法・栄養療法の有効性についても、「欧米での研究も含め、現在のところ『この食事ががんに効く』といったような、効果を示せるものはありません」と萩原さんは語る。

「がんと食事」でわかったこと

それでも、予防も含め、がんと食事の関係で意外なことが明らかになりつつある。例えば、がんと脂肪との因果関係だ。
「一般的には脂肪分の過剰摂取が大腸がんや乳がんの最大のリスク因子といわれてきました。しかし、米国で行われた約5万人の閉経女性を対象とした8年間の追跡調査の結果、脂肪摂取は大腸がん、乳がんの発症リスクとはいえないことが報告されました」
そこで改めて注目されているのが、極北に生きるイヌイットの食習慣だ。過酷な環境で暮らすイヌイットは総摂取エネルギーのうち40%を超える形で脂肪を摂取し、低炭水化物・高脂肪食を摂っている。ところが、急性心筋梗塞、多発性硬化症、糖尿病などの罹患率はデンマーク人と比べて低く、がん患者の発生率も極めて低い。ただ、がん患者の発生率が低かったのは、伝統的な食習慣である低炭水化物・高脂肪食が守られている間で、1910年以降、欧米型の食文化が入り、40年が経過した1950年代からは、欧米型のがん(大腸がん、肺がん、乳がん、前立腺がん)が増加しているという。
つまり、イヌイットの食習慣から考えられることは、十分な脂肪摂取と共に、低炭水化物つまり糖質を控える食生活が、がんの発生を減らしているのではないかということなのである。

糖質とがんとの関係明らかに

糖質を摂取すると分泌されるインスリンとがんとの関係についての報告もある。
厚生労働省研究班がCペプタイド値(インスリンがどの程度膵臓から分泌されているか調べるための値で、値が高いほどインスリン分泌量が多い)と大腸がんリスクとの関係を調べた結果、Cペプタイド値が高い男性は低い男性に比べて最大で3倍も大腸がんになりやすかった。
乳がんになりやすいようにしたモデルマウスを使った実験では、一般食を投与した場合は1年で50%のマウスが乳がんを発症するのに対して、糖質を減らした低炭水化物・高タンパク質食を投与した群では、発がんが有意に減少した。
そこで萩原さんは語る。「こうした結果から糖質の過剰摂取と発がんとの関係が推測され、人でも糖質を制限した高脂肪食の効果が報告されるようになりました。例えば、65歳の女性の悪性膠芽腫患者に抗がん薬・放射線療法と併用して糖質制限・高脂肪食を摂ってもらったところ、がんが縮小し、有効だったことが報告されています」
そこで萩原さんたちが考えたのが、がん患者に対する糖質制限・高脂肪食、つまりケトン食の導入だった。

糖質制限・高脂肪食であるケトン食

ケトン食とは食事療法の1つで、糖質の摂取を極端に減らして、かわりにタンパク質と脂肪分を多く摂る食事法のこと。十分な栄養が摂れず飢餓状態になったとき、体内で作られエネルギー源となるのが脂肪酸の代謝産物であるケトン体だ。
通常、体内では糖質が主要なエネルギー源となっている。ところが、食事ができないなど何らかの理由で糖質が枯渇すると、代わりに脂肪が分解されてケトン体が作られ、これをエネルギー源として利用することができる(図1)。私たちの体に備わっているこの仕組みを利用したのがケトン食だ。

図1 体内でケトン体が産生される仕組み(概略図)

萩原さんによると、ヒポクラテスの時代から絶食がてんかんの発作を減らすことは知られていたそうだ。絶食によって一時的に飢餓状態にして糖質を枯渇させ、その結果、体内では脂肪からケトン体が作られ、糖質に変わるエネルギー源となるのだ。
1921年、米国で絶食よりも負担の少ない方法としてケトン食が考案され、難治性てんかん患者に用いられて劇的な発作軽減効果があることが示された。日本でもてんかん発作を抑える治療の1つとして取り入れられており、大阪大学医学部附属病院の小児科では、難治性てんかんやGlut1欠損症に対して15年間のケトン食の実績があるという。
従来は主として難治性てんかん患者に用いられたケトン食が、萩原さんはがん治療、中でも進行・再発したがんにも有効ではないかと考えた。大阪大学ゲノム審査委員会の承認を得て、日本人のがん患者に対するケトン食の有用性と安全性を検討することを目的に、2013年2月から介入研究を開始、その結果を2015年10月に発表した。

がん治療で注目の「ケトン食療法」 その改善例を紹介

ご飯やパン、麺など炭水化物に多く含まれる糖質の摂取量を減らす食事法「糖質制限」が、がん治療にも効果が見られたという臨床研究データが発表された。がん細胞は炭水化物から合成されるブドウ糖を栄養源としているので、それを断つことでがんの進行を抑制できないかという考え方から、多摩南部地域病院外科医の古川健司氏(医学博士)が行なった研究だった。部分奏効や進行制御も含めた病勢コントロール率(治療効果のあった患者割合)は実に83%に達したという。
しかし、ブドウ糖はがん細胞だけでなく、人間の生命維持活動を支える重要なエネルギー源だ。それを制限することで健康維持のリスクはないのか。
「正常細胞はブドウ糖の供給が途絶えても、緊急用の代替エネルギーを皮下脂肪から作り出すことができる。それがケトン体という酸性の代謝物質で、糖質制限によるがん治療のカギとなる」(古川氏)
ケトン体とはアセト酢酸、アセトン、β―ヒドロキシ酪酸という3つの物質の総称をいい、正常細胞はケトン体をエネルギー源にできるが、がん細胞の栄養源にはならない。そのため、がん細胞だけを“兵糧攻め”できるという理屈である。古川氏が続ける。
「ケトン体には細胞を酸化させ、細胞のがん化を促す活性酸素を除去する働きがあることが確認されているほか、機能不全に陥ったがん抑制遺伝子p53を正常化し、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導するなど、ケトン体自体に抗がん作用があることが解明されています」
さらにケトン体には損傷した細胞の修復機能を担い、老化と寿命を制御する「長寿遺伝子」を起動させる働きがあることも明らかになってきたという。
古川氏の行なう糖質制限による食事療法の名称は「がん免疫栄養ケトン食療法(以下、ケトン食療法)」といい、がん治療に特化した糖質制限である。
厚生労働省が作成した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によれば、成人男性(30歳以上)の1日に必要な総エネルギー量は2650キロカロリーと試算され、その約60%を糖質で摂取することが推奨されている。
重度ではない糖尿病患者の糖質制限では、糖質の摂取量を総エネルギーのうち30%程度にまで抑えるが、古川氏のケトン食療法はそれを限りなくゼロに近づける。臨床研究では、1日の糖質摂取量を20グラム以下とする「糖質95%カット」を実践した患者もいる。
具体的な量を示すとそのストイックさがわかる。ご飯一膳(160グラム)で約60グラムの糖質摂取量なので、3分の1膳以下。それ以上の糖質は摂れない。
では、ケトン食療法でどのような改善例があったのか見ていこう。60歳のA子さんは末期がんを根治したケースだ。
2012年4月、直腸がんの切除手術を受けたA子さんは術後ステージIII、再発可能性は20%と診断され、2014年12月に多発性肺転移と肝転移が発覚した。
その後、古川氏の研究に参加し、抗がん剤とケトン食療法を始めたところ、3か月後に肺に転移したがん細胞が縮小した。手術が可能なサイズまで小さくなったため、2015年4月に左肺の部分切除手術を行なった。古川氏が言う。
「手術後、これまでの抗がん剤治療は行なわず、ケトン食療法のみを継続したところ、肝臓に転移していた腫瘍も小さくなりました。同年9月にその腫瘍の切除手術を行ない完治に至りました。A子さんのケースはがん細胞の増殖を抑えただけでなく、多発転移まで防いだ。栄養源を失ったがん細胞は移動もできなくなるようです」
ケトン食療法が、がん治療に効果がある研究事例は海外でも報告されている。銀座東京クリニック院長の福田一典氏が解説する。
「最初にエネルギー源をケトン体とする糖質制限食ががん治療に良いと言われ始めたのは1995年頃です。アメリカで脳腫瘍を患った女児2人に8週間にわたって糖質制限食を実施したところ、7日後からがん細胞によるブドウ糖の取り込みが20%低下。女児の1人に腫瘍の縮小など著しい改善と長期間の延命効果が認められたのです。
他にも、アメリカでは根治不能とされた進行がん患者10人を対象とした臨床研究で、26~28日間にわたって糖質制限食を実施したところ、全体の半数の5人にがん細胞の縮小などの効果が確認されたケースが報告されています」
古川氏の臨床研究で用いられているケトン食療法は、主食の炭水化物の大幅カットに加えて、もう一つ特徴がある。それはタンパク質とがんの進行・炎症を抑えるEPA(エイコサペンタエン酸)の摂取を強化している点だ。
それらは食材と調理法によって摂取量を厳密に管理されている。
※週刊ポスト2016年12月2日号

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